第11話

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「長い間お世話になりました。向こうに行っても部長らしく頑張って下さい。今後のご活躍とご健勝をお祈り致します」 「ずいぶん堅苦しいな。雛森らしいといえばらしいけど」 「最後ですから。きちんとご挨拶しようかと思いまして」 「別れのキスくらい」 「できますか?ここで」 「無理だな。残念」 「そう思うならもっと残念そうな顔して下さい。笑って言っても真実味ありませんよ」 くわえ煙草でクククッと喉の奥を鳴らす部長の横に並び、冷めた言葉を返しながら、少し離れた場所で円を作る同僚達を眺めた。 円の中心には佐藤くん。 その周りでは笑いが起きている。
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