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私の中に刻みつけられた部長の記憶を消す為に神崎くんを利用した。
その事に彼は気づいているのだろうか。
それとも、そうなると分かっていて、ここに来たんだろうか。
「雛森」
艶のある声が私を呼ぶ。
「して欲しいこと、言って」
深く沈む身体を強く抱きしめた。
「叶えてあげるから」
小さな痛みが止まない。
「……神崎くん」
求められた言葉には答えず、胸元にあった彼の顔を引き寄せて、口づけた。
軋むベッドの音は止まない。
今はこれでいい。
彼には、何も望みたくはない。
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