第11話

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「ごめん」 静けさを取り戻した部屋。 月明かりがカーテンの隙間から薄く漏れる。 「ん?」 「色々と」 頭の下から伸びた腕枕を眺めながら、聞き返した彼の言葉に答えた。 「どういたしまして」 背中を向けた私の後ろにいる彼は、フッ。と笑った後に唇を押し当て、新しい跡をつける。 「つけすぎ」 「すぐ消えるよ」 嫌がらない私に気を良くしたのか、背中にあった唇は、首筋、うなじへと移動していく。 服に隠れる場所には痛みを残し、隠れない場所には優しく噛みついた。 甘い余韻。 自分が置かれている状況を、つい見失いそうになる。
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