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「ごめん」
静けさを取り戻した部屋。
月明かりがカーテンの隙間から薄く漏れる。
「ん?」
「色々と」
頭の下から伸びた腕枕を眺めながら、聞き返した彼の言葉に答えた。
「どういたしまして」
背中を向けた私の後ろにいる彼は、フッ。と笑った後に唇を押し当て、新しい跡をつける。
「つけすぎ」
「すぐ消えるよ」
嫌がらない私に気を良くしたのか、背中にあった唇は、首筋、うなじへと移動していく。
服に隠れる場所には痛みを残し、隠れない場所には優しく噛みついた。
甘い余韻。
自分が置かれている状況を、つい見失いそうになる。
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