3人が本棚に入れています
本棚に追加
朝。
上品にゆっくりと。
美青年で優秀なる私の自慢の執事――セバスが、カーテンを開いていく。
「おはようございます。お嬢様」
燦然(さんぜん)と穏やかに降りそそぐ陽の光が、豪奢なこの部屋に色をもたらす。
それはまるで女神のみに与えられし特別な部屋であるかのように。
「お嬢様、それは気のせいでございます。お嬢様が女神を名乗っては女神に失礼でございます」
それは私の美しさに女神が嫉妬するという意味なのかしら?
セバスがフッと吐息を漏らす。
「どうやらこの部屋の鏡は全て不良品だったようですね。後で新しい物に換えておきますので、もう一度じっくりとご自分の顔をご覧になるとよろしいでしょう」
さすが私のセバス。鏡のあの小さな汚れに気付くとは、優秀な執事の証拠ですわ。
「それは誤解でございます、お嬢様」
最初のコメントを投稿しよう!