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私は誉めているのよ。もっと喜びなさい。
「ありがとうございます。微妙な気持ちで喜びたいと思います」
それはそうと、セバス。
「はい」
ふぅ、と。
私は頬に手を当てて悩ましくため息をこぼす。
聞いてちょうだい、セバス。もしかしたら私は天の祝福を受けた【運命の女】なのかもしれません。
「それはひどい妄想ですね」
いいえ、セバス。私は気付いてしまったのです。
生まれた頃から絶世の美女として生まれ、何不自由なく豪奢なこの家で暮らし、父にも母にも愛されて、周囲の皆が私を誉めちぎってとても甘やかしてくれる。
きっとこれは私がこの世の特別な存在であるからに違いありません。
「お嬢様。それは大きな誤解でございます」
そうかしら? いつもこうして裕福に暮らしていると、そのように思えてならないのです。ねぇセバス。何か私の出生のことで父や母から聞いていないかしら?
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