第1話 お迎えは空からやってくる。

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「そうですね。知っていることと言えば、お嬢様が普通に生まれてきたということでしょうか」  いいのよ、そんな嘘つかなくても。私は知っています。  昨夜、満月が私にこうささやいてきました。  ――姫。あなたはもうじき月へと戻らなければならない、と。 「月に、ですか?」  えぇ。もうじき月より使者が私を迎えに来るのです。 「月の死者ですか。それは大変ですね」  えぇ。父にも母にもこのことはけして言えません。──セバス、私はどうしたら良いのでしょう。 「それは早急に追い返すべきです、お嬢様」  追い返すのですか? なぜそのようなことを? 「死者の迎えを望んではなりません」  そうですわね、セバス。あなたの言う通りですわ。【かぐや姫】の時も皆悲しんでいましたもの。追い返すべきですわね。 「警備のご予算は?」  そうですわね。やるならば盛大にやるべきですわ。 「盛大に、でございますか?」
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