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「そうですね。知っていることと言えば、お嬢様が普通に生まれてきたということでしょうか」
いいのよ、そんな嘘つかなくても。私は知っています。
昨夜、満月が私にこうささやいてきました。
――姫。あなたはもうじき月へと戻らなければならない、と。
「月に、ですか?」
えぇ。もうじき月より使者が私を迎えに来るのです。
「月の死者ですか。それは大変ですね」
えぇ。父にも母にもこのことはけして言えません。──セバス、私はどうしたら良いのでしょう。
「それは早急に追い返すべきです、お嬢様」
追い返すのですか? なぜそのようなことを?
「死者の迎えを望んではなりません」
そうですわね、セバス。あなたの言う通りですわ。【かぐや姫】の時も皆悲しんでいましたもの。追い返すべきですわね。
「警備のご予算は?」
そうですわね。やるならば盛大にやるべきですわ。
「盛大に、でございますか?」
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