第一話

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「なんだって…お前…え?は?」 「え、だってそれだけなんですよね」 「お、おう…」 「じゃあ普通に口で言えばよかったのに…前置きが長いんですね会長は」 「ま、前置き?」 「編入生君に俺から近寄らなきゃいいんでしょう?じゃあもう終わりじゃないですか。眼鏡の彼も何だかよく分からず何処かへ言ってしまうし…ちゃんと言ってくれないと普通は分かりませんよ」 「………は?」 「じゃあ今度用事がある時は、ちゃんと口で伝えてくださいね?」 と、今度こそ立ち去ろうとすると足音が聞こえてきた。 歩いている音ではない。 走っている音だった。 最初は先ほどの眼鏡の彼が戻ってきたのかと思ったが、その考えもすぐに打ち消された。 彼が走り去っていった方向と、足音が聞こえてくる方向が真逆だったのだ。 段々と大きくなっていく足音に耳を傾けていると、体育館の陰から誰かが飛び出してきた。
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