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窓を閉めるとチャイムが鳴った。
ドアを開けると険しい顔をしたアキがいた。
アキは無言で部屋の中に入るとバタンッと大きな音をたててドアを閉める。
「ユキ、何があった」
「何もないよ。ただ不審者に襲われただけ」
「は?何もなくねぇじゃねぇか」
アキが俺の肩に手を置き、少し前屈みになって俺の顔を覗いてくる。
「大丈夫だよ。烏丸先生に湿布貼ってもらったから」
「どこが大丈夫だよ。馬鹿か」
アキは呆れたような声をで言う。
しかし俺の肩を掴むアキの手には、グッと力が入れられる。
俺は指が体にめり込む僅かな感覚を感じ、アキの手に自分の手を重ねた。
「おめぇ言ったよな?すぐ帰るって。大丈夫だって」
「アキ」
「それが何だよ…あざ出来る程ボコられて保健室世話ンなってよぉ…」
「すまない」
「何も大丈夫じゃねぇ…!何でお前が殴られなきゃなんねぇンだよ…!」
最初は落ち着いているものの、段々と声を荒げるようにアキは言葉を紡いだ。
アキは俺の肩から手を外し、片方の手で顔を覆って壁に寄りかかる。
俺はアキの言葉をただ待った。
「マジ情けねぇ…腹が立つ…」
「ごめん」
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