第一話

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食事が終わり歯を磨いていると部屋のドアからコンコンと小気味良い音が鳴った。 誰かがドアをノックしたのだ。 アキかと思ったが、時間的にはまだ早いしアキならノックではなくインターフォンを押す。 こんな朝早くから誰だろうと、心当たりを探しながら部屋のドアを開けた。 立っていたのは目の下に隈を作った会長だった。 驚きはしたものの態度には出さずに平然と「やぁ、どうも」と俺は言った。 歯ブラシを加えているのではっきりとは言えなかったが。 会長は俺の挨拶にすぐに返事はせず暫く黙っていたが、ゆっくりと顔を上げ俺に顔を向けた。 「今…いいか?」 部屋の中を指差し俺に問う。 断る理由もないしアキが来る時間はまだ先なので招き入れた。 俺は洗面所に向かいうがいをして歯磨きを終わらせた後、会長が待つリビングに行く。 一応ソファに座るように促していたのだが、会長は座らずに立ったまま俺を待っていた。 俺がもう一度ソファに座るよう促すと、今度はゆっくりとだがソファへと腰を沈めた。 俺もそれに続くように向かい側のソファに座る。
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