第一話

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「お前…何が目的なんだ」 会長がキッと俺を睨んできた。 会長に睨まれるのは何度目だろうか。 俺は困ったように笑いながら会長を見つめ返す。 「目的?」 「おかしいだろだって。俺に殴られても庇うなんて。目的がある以外にどう考えればいいんだ。何が目的なんだ?何故俺を庇った。俺が会長だからか?俺が『東堂』の息子だからか?どうせご機嫌取りか媚でも売ってきてるんだろう。そうなんだろう!?」 会長は突然立ち上がり声を荒らげて俺を責める。 言い終わったあとは、肩を上下させ興奮しているのかフーフーと息を吐いていた。 「別に…俺は優しくしたつもりもないし庇ったつもりもないのだけど…」 「え…」 「少なくとも自覚がない、の方が正しいのかもしれませんが…俺からしたらそんなつもりはなかったんですよ。ただそうしたかっただけ」 「嘘だ…そんな人間いるわけがない…!紘夢以外皆…皆…」 「俺は俺の自己満足のために動いただけとしか思ってませんでしたよ」
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