第一話

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「あっ!何溜息ついてんだよっ!溜息つくと幸せが逃げちゃうんだぜ!」 「…あぁそうだね、すまない。ところで、会長はどうしたんだい」 「あぁそうそう!絢也のやつ!俺が誘ってやってんのにこないんだぜ!!一人にしてくれとか言ってさ!」 「へぇ」 「そんでさ!そんな酷い事言うから俺怒ってやったんだ!友達にそんな事言うなんて最低だ!って!」 「うん」 「でも俺優しいから謝れば許してやるって言ったんだ!そしたらさあいつ『そんなもの優しさじゃない』とか言ってどっか行っちゃったんだぜ!最低だよな!」 「…そっか」 編入生君が大きな声で話してくる後ろで、取り巻きたちが睨んでくる。 きっと彼が俺だけと話しているから怒っているのだろう。 俺は彼らと食事をする予定はないし、退散させてもらうことにした。 お昼は違う所で食べよう。 俺は携帯を取り出し電話帳からアキの番号を探す。 電話は一回だけコールしただけですぐに出てくれた。 『どうした』 「アキ、俺外にいるよ」 『あ?あーなんかあ――』 「おい雪弥!!誰と喋ってんだよ!!今は俺と喋ってんだろ!!」 『…よくわかった、後で合流する』 「ありがとう」 アキとの会話を終えると俺は弁当を持って席を立つ。 すぐに教室を出て行きたかったが編入生君がそれを許してはくれなかった。
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