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俺も会長が座っている横に座る。
会長は一瞬ビクッとしたが驚いただけで特に何もなかった。
「…!お前、その腕どうしたんだ」
会長が俺の腕を掴み手首を見る。
そこには先ほど編入生君に付けられた手形のあざがくっきりとあった。
放された直後に見た時よりも色は青黒く変色していた。
彼の力は尋常ではないほど強いというのがこのあざで確認できる。
「あぁ、いや、編入生君に掴まれただけですよ」
「掴まれただけ…でも、この色は異常だろう。痛くないのか?冷やさなくて平気か?」
「大丈夫です。俺は痛みを感じにくいので」
「……そうか」
会長は肩を窄めて俯く。
手はまだ俺の腕を掴んだままだ。
特に気にしないので俺はそのまま掴ませておいたが、力を弱めたり逆に強く握ったりと謎の掴み方をしてきたのでそれは少し気になった。
俺の腕を掴んでいる会長の手に軽く触れると、瞬間ビクッと動き、「悪い」と言いながら手を引っ込めた。
そこからまた地面へと視線を落とし始める。
俺も会長のそれに倣い、地面に目線を寄越す。
暫くお互い無言でいると、会長が口を開いた。
「……あの、な。俺、昔から嘘が、嫌いなんだ」
「え?」
小さな声でそう呟く。
俺が疑問形をぶつけたのは聞こえていなかったわけではない。
相手に聞こえていると知らせるためのものだった。
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