第一話

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と、その前にアキに連絡をしなければいけないので俺は携帯を取り出す。 会長は俺に合わせて待ってくれた。 すみませんと謝ると大丈夫だと答えるかのように微笑んだ。 そういえば会長の笑った顔は今初めて見たなと新たな発見に少々感激する。 今回もアキはワンコールで出てくれる。 急ぎの用事の時助かるんだろうなとか感心した。 『どうしたアキ。またか』 「いや今回は違うんだ。  用が出来たからすまないけど一人で食べてくれないかい?」 『…用って何だよ』 「会長が――」 『あ゛っ?またあいつか?』 「うん。でももう大丈夫――」 『あいつと電話変われ』 「え?」 『いいから変われ。近くにいんだろ』 俺は言われたとおりに会長に携帯を渡す。 会長は最初何なのかわからない様子だったが、アキです、と言うと納得したのか携帯を耳に当てた。 「もしもし―――あぁ―――悪かったと思ってる。  許してもらおうなど思ってない―――別にいい。生徒会室だ――あぁ」 会話が終わったのか会長は俺に携帯を返す。 会長の言葉だけじゃ二人が何をしたのかわからなかったが、アキの事だからまた説教じみた事を言ったのだろうなとかを想像する。 今度は忘れたりしないようしっかりとシャツのポケットに携帯をしまった。 ちなみにこの前は自分の机の中に携帯を置いてきてしまっていた。 なかなか間抜けだなと自分で思う。
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