第一話

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会長が俺を案内し、連れてこられたのは生徒会室だった。 確か一般生徒は立ち入り禁止だったはずだがその旨を確認すると、会長は「許可は取ってある」と一枚の紙切れを取り出した。 入室許可書と書かれたその紙には俺の名前と葉鳥先生の名前が記されていた。 普通の先生ならよっぽどの事がない限り許可してくれないのだが、葉鳥先生なら快く許可してくれるだろう。 会長も頭を使ったものだ。 会長自身が許可を取りに来たからなのかもしれないが。 生徒会室に入ると6つの机が置いてあった。 真ん中に置いてある一つの机以外には誰かが座っている。 皆可愛らしい雰囲気の小柄な生徒だった。 俺が謎に満ちた表情で眺めていると「俺の親衛隊だ」と会長が教えてくれた。 なんでも仕事を手伝ってもらっているらしい。 本当なら自分一人でやるつもりだったが、親衛隊達が是非と言ってきてくれたので恐縮しながらも手伝ってもらっているそうだ。 なんとも素晴らしい親衛隊だろうと思う。 会長もそんな親衛隊達を疑心暗鬼な表情で伺うのではなく、本当に有難いという表情で彼らを見つめていた。 今回の件で会長の人間不信が治ったのだろうか。 そうだとすれば会長にとっても、周りの人間にとっても喜ばしい事だ。 親衛隊の一人が生徒会室に俺達が入ってきた事に気付き、此方に顔を向ける。 「し、不知火様っ!!」 一人が俺の名前呼ぶと他の4人も一斉に此方を向いた。 彼らはそのまま俺の方へと駆け寄ってくる。 「不知火様!有難うございますっ!」 すると突然俺に頭を下げお礼を言ってきた。 理由が分からなかったのでまずは頭を上げるようにお願いをし、彼らに理由を聞く。
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