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アキに引きずられるように生徒会室を出る。
アキは俺が生徒会室から出るのを確認すると、扉を閉めた。
そこでようやくアキの腕から俺は解放された。
アキはというと、何事もなかったかのように「ほら、授業遅れちまうだろ」と俺に声を掛け先を歩いていく。
俺はアキを追い掛け横に並んだ。
「アキ、何か怒ってたりするかい」
「あ?なんで」
「そう、見えたから」
「んな事ねぇよ」
「見えるよ。俺が言うほど」
「…そっか、でもかっこ悪ぃから言わねぇ」
アキはそのまま拗ねたように顔を背けた。
こうなったらどうしようもない。アキは頑固なんだ。
真面目で家庭的で頑固で、まるで一昔前の人間のような人なのだ。
だから俺は何も言わない。アキの望むとおり、俺は問い詰めない。
俺達は静かな廊下を静かに歩いて行った。
聞こえてくるのは、お互いの足音だけだった。
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