第一話

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アキに引きずられるように生徒会室を出る。 アキは俺が生徒会室から出るのを確認すると、扉を閉めた。 そこでようやくアキの腕から俺は解放された。 アキはというと、何事もなかったかのように「ほら、授業遅れちまうだろ」と俺に声を掛け先を歩いていく。 俺はアキを追い掛け横に並んだ。 「アキ、何か怒ってたりするかい」 「あ?なんで」 「そう、見えたから」 「んな事ねぇよ」 「見えるよ。俺が言うほど」 「…そっか、でもかっこ悪ぃから言わねぇ」 アキはそのまま拗ねたように顔を背けた。 こうなったらどうしようもない。アキは頑固なんだ。 真面目で家庭的で頑固で、まるで一昔前の人間のような人なのだ。 だから俺は何も言わない。アキの望むとおり、俺は問い詰めない。 俺達は静かな廊下を静かに歩いて行った。 聞こえてくるのは、お互いの足音だけだった。
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