第一話

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あっという間に昼休み。 お腹がすいたという感覚もなく、ただ黙々と弁当を広げる。 しかし流石はアキが作った弁当というか、色彩豊富な弁当に視覚は楽しめているのだ。 「雪弥ーーーーーーーーーーーっ!!!!!」 突然の大きすぎる音にデジャヴを感じながらも、音の主の方に顔を向ける。 編入生君が周りの視線などお構いなしに、此方の方へとズンズン歩いてきた。 勿論後ろには取り巻き集団も一緒で、一之瀬奏太の姿は勿論だが、よく見ると絢也先輩もいた。 おや、どうやら新入りもいるようで、見たことない銀髪の生徒と新たな眼鏡の生徒が居る。 「雪弥!!今日こそ一緒に昼飯食おうぜ!!!」 俺の机を力強く叩いて前かがみになり、顔を近付けてくる。 すると絢也先輩が「もっと静かにできないか」と編入生君に注意をしていた。 編入生君は聞く耳持たずで全く絢也先輩の注意を聞いていなかったが。 「おい」 俺が返事をしないでいると隣から低い声が聞こえてくる。 「ユキは俺と食うんだよ。仲良しこよし集団とでも食いやがれ」 アキだった。 そういえば今日は何処も行っていなかったな。 アキは不機嫌さを表情に丸出しにしながら肘をついて編入生君たちを睨みつける。 「なんでそんな意地悪言うんだ秋彦!!!!いいだろ俺達と食っても!!!!!お前ばっかりずるい!!!!お前も俺達と食いたいだろ!!?」 「うるせぇ帰れ」 編入生君が癇癪を起こしてもアキは淡々と返答する。 騒いでる編入生君から視線を外して取り巻き集団の方へと向ける。 「てかお前らもよ、編入生がユキにくっつくの嫌なんだったら全力で引っ張ってけよボケナスが」 「は?誰に向かって口聞いてんの?」 アキの悪態に返事をしたのはこの前のアクセサリーを沢山つけた人だった。 確かこういう人ってチャラ男って言うんだったっけ、と心の中でチャラ男君と呼ぶ。
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