第一話

72/76

1402人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
「お、俺もっ!!」 突如としてあまり耳に覚えのない声が後ろから聞こえてくる。 振り返ってみると、先程一人で興奮していた黒縁眼鏡君が編入生君の方を向きながらそう叫んでいた。 「俺もずーーーーーっと言いたかったんだけどさっ!?俺も一般生徒だし!?こんなずる~い事するのは胸が痛いからさぁ!!だから俺も彼らに続いて下で食べるぜぇ!!」 早口で一方的にそう告げた黒縁眼鏡君は、バタバタと慌てながら階段を下りてくる。 すると編入生君が鼻息荒く黒縁眼鏡君の腕を掴む。 「何言ってんだよ!!俺達親友だろ!!!??折角仲良くしてやってるのに!!!」 黒縁眼鏡君は危うく踏み外しそうになるもなんとか堪える。 「い、いやぁ~自分達だけオッケーなんてそりゃないでしょ…」 黒縁眼鏡君がそう言うと編入生君は唸りながら地団駄を踏む。 「我儘言うな!!!!!!!!!!!」 ドンッと音が聞こえたと同時に、黒縁眼鏡君の体が宙に浮く。 いや浮いたのではない。押されたのだ。 「はっ……」 黒縁眼鏡君は抵抗する暇もなく、そのまま重力に身を任せる。 幾数もの悲鳴が飛び交い、食堂内がどよめく。 俺は手に持っている弁当を投げ、咄嗟の動作で彼の下へと走り込み手を伸ばした。 強い衝撃と共に彼を受け止めたと脳で判断する。 そのまま彼の体重が全身に振り落ち、俺は彼のクッションとなって後ろへと倒れた。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1402人が本棚に入れています
本棚に追加