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「生と死を守るためのルールを犯した者よ…」
サクヤはゆっくりと近付く。アランは後退った。
「そのルールの守護者として、神に代わって神罰執行を行う」
アランは直ぐに壁に背中がついた。
「まっ、待ってくれ…お、俺が悪かった…魔がさしたんだ…もう、やらないから…!!」
アランが哀願するが、サクヤは顔色一つ変えない。
「…言い訳無用…。無に還れ…」
「かはっ…」
辺りに血が飛び散る。俊は黙ってその光景を見詰めた。
倒れたアランと飛び散った血は、白い羽となって消えた。
「サクヤ、咲を助けてくれてあり……え…?」
サクヤの姿が透け始めた。
「もう、助けはいらないようだからな…。貴様には見えなくなるのだ…。それじゃあ…」
サクヤは窓へと足を進める。
「あ、ちょっと待てよ!」
呼び止めると、サクヤは振り向いた。
「お前…一体幾つなんだ…?」
サクヤは少し微笑み、外を見た。
「確実に100歳は越えている…。私は不死の死神だからな…」
俊は驚きを隠せないようだ。
「おい、貴様の名は?」
そう聞かれると、俊は嬉しそうに笑った。
「立花俊だ」
殆んど見えなくなったサクヤは窓枠に足を掛けた。
「幸せが訪れることを願っているぞ、シュン…」
そして完全に見えなくなった。
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