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「今日は此処にしよう」
一人の少年がカメラを構える。
少年の名は立花俊。カメラが趣味の高校一年。
「今日はやけに紅いなぁ…」
闇の中に紅々と浮かんでいる月を見る。そしてその月を撮そうとカメラを向けた。
「うぐっ!」
突然、俊の隣に人が倒れる。
それは俊よりも年上らしき男。
「??」
一瞬訳が分からなく、その男を見る。全身黒づくめで、手には…
(鎌!?)
大きな鎌を持っていた。驚きで、固まった。その男は体の到るところに切り傷がある。
すると男の前方――闇の中から人が現れた。
(…女の子…?)
どう見ても、俊より年下の少女が立っていた。その少女は透けるような白い髪をツインテールにしている。そして男と同様に、大きな鎌を持っていた。
ただ…少女の鎌には血がついていた。
「無に還れ…」
澄みきった声が響いた瞬間、少女は鎌を振り下げた。
「!!!??」
俊は目を見開いた。
男はゆっくりと倒れた。もう、ピクリとも動かない。
血が滲み出て、足元に伝う。
「う…うわぁぁぁ!!ひ、人殺しぃ!!」
俊は叫びながら、腰を抜かした。
すると少女が振り返った。
「小僧…貴様、私達が見えているのか…?」
少女は、じっと俊を見詰める。
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