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「?」
少女の言っている意味が分からなかった。
「…あ、あれ?」
俊は違和感を感じて、視線を下に向ける。視線の先には、男から流れ出ている血。
「…な、何で…?」
しかしその血は何時まで経っても、服に染み込んでこなかった。
俊は呆然とその血を眺めた。
「…私達は人間ではないからな…」
顔を上げると、少女は無表情に俊を見下ろしていた。
「…小僧、貴様の身近で死んだ奴はいるか…?」
「…は?」
俊は少女の質問にまぬけな返事をしてしまった。
「質問に答えろ」
少女は命令するように言った。
「つーか、小僧って何だ!!どう見てもお前の方が…!」
「言葉に気を付けろ」
我に返って叫ぶと、下の方から男の声がした。辺りを見回したが、誰もいない。いるのは俊と少女と、その足元にいる黒猫と肩にとまっている鴉だけ…。
「…まさか…」
ゆっくりと猫を見る。
「そうだ、俺が言ったんだ」
猫が一歩前に出る。俊は口を大きく開けて、猫を見る。
「ねねねねね猫が喋ったぁぁぁ!!?」
俊はやっと、言葉を発した。
「うっせぇなぁ…」
鴉までも喋った。俊は少女を見る。
「こ…これって…?」
少女は無表情で見詰め返す。そして口を開けば、
「質問に答えろ」
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