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と、さっきと同じことを言う。俊は深呼吸をし、落ち着くことにした。
「そ、それよりお前、名前は?俺は立ば…」
「サクヤだ。小僧、もう一度言わせる気か…?」
俊は無駄だと分かり、溜め息を吐いて話し出した。
「あぁ、確かに…一ヶ月前に…妹が…」
忘れたくて、忘れたくないことが、頭の中で回る。
俊には両親がいなかった。物心がつく時には、もう施設にいた。そして唯一の身内が、妹の咲だった。両親のいない俊は、咲を守ると誓った。
…しかし一ヶ月前のこと、交通事故によって、死んでしまった。
その理由は、俊に忘れ物を届けるため…。
俊の目の前で、咲は轢かれた。
そして俊は自分を責めた。
――自分が忘れ物をしたから…。咲は俺が殺した!!!――
と…。
「…………」
サクヤはその話を聞くと、歩き出した。
「え…お、おい!何処に行くんだよ!?」
追い掛けながら言うとと、サクヤは俊の方を見ずに言った。
「貴様の家に行く」
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