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あれよあれよと言う間に、信じられない事態に進展していっていた。
なんと卒業して1か月で、想いもかけない、事態。
「……まさか兄貴が結婚、なんて」
東京から呼び戻された弟の直が、信じられないと呆けていた。
「俺だってこんなに早くこうなるとは思わなかったよ」
白いタキシードを着せられて、俺は小さくため息をついた。
卒業式の後、にっこり笑った親父さんが何故か俺の親に挨拶に行くという始末。
普通は男親が挨拶に出向くものじゃないのか?
蘭子とのことを一言も言っていなかった俺は、両親がどんな反応をするか気が気じゃなかった。
―――が。
今の直と同様。
『まさか景がそんなに真剣な付き合いを!?』と、驚きよりも感激が上回っている反応だった。
『こんな可愛いお嬢さんを頂けるなんて、景には勿体ないことです!』とか『あの景が子どもを可愛がるなんて、まさか!』とか。
散々な言われようだった。
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