あの頃の僕

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僕は奴隷だった。 生まれた時から糞尿に塗れた汚い檻の中で暮らしていた。 ご飯が貰えるだけで喜ぶ。勿論、皿なんて無い。 地面に投げ出される食べ物を必死に四つん這いになって食べる。 前にその様子を見た当時のご主人様に「まるで獣のようだな」と笑われながら言われたことがある。 プライドなんてそんなもの、生まれた時から持っていないし知らなかった。 死にたくないから必死に生きていた。 なぜ?・・・なぜそんなに生きていきたいのか? こんな人生に生きている価値があるのか? こんな獣のように生きて・・・ご主人様の折檻に怯える日々・・・そんな日々に希望はあるのか? わからない・・・わからないけど、こんな理不尽な世界を生きてゆくしかなかったんだ・・・僕は・・・
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