Summer Diamond Memory's

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 今の試合は空振り三振ではなかった。今、目の前にある世界はあの日のようであの日とはほんの少し違う。  ・・・今の私なら、あの頃の自分の想いを伝えられる。  私は制服に着替えることもせず、ユニフォームのまま選手の控え室まで急いだ。  ・・・あっ!?  控え室に向かう途中の通路で私は歩みを止め、慌てて向こうから見えないように隠れた。  楠木くんと亜由美。二人が小学校から同じ学校だったのは知っていた。高校から同じ学校に通う私にはどうやっても立ち入れない壁があるのも感じていた。 「ごめん。連れて行けなくて・・・」  楠木くんは亜由美に頭を下げて謝っていた。もしかしたら、甲子園に行くのが二人の夢だったのかもしれない。  やっぱり・・・言えないよね。  私は涙を拭うと向きを変え、他の部員が着替えている場所へ向かった・・・。
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