20人が本棚に入れています
本棚に追加
ただのメル友なんだ ただの取引先なんだと自分に言い聞かせても彼女を思うとオトコとしての本能が首をもたげる
1度会ってしまえば…この熱も引くのだろうか?もしかしたら会いたいと思っても会えない相手だから ここまで考えてしまうのかとフと考える
そうかもしれない
これは一時の気の迷いだ 最初は凹んでいる彼女に ただ笑顔になって欲しくて飴を渡しただけだ
その為にメッセージを書き ついメアドを渡した それに対して彼女が御礼のメールをしたことから始まった取引先の枠を超えたプライベートな付き合いが出来たが…
別に疚しい気持ちからの事ではない
目の前で人が転べば手を差し伸べるのと同じくらいの当たり前の感情からだったのだ
ただ…少しだけ楽しくて ただ…めちゃくちゃタイプだっただけのこと
気心知れた仲になったから顔を見たくなって見たら可愛かったから嬉しくなっただけで…もっと知りたく…
ハッとした
またしても彼女の事を考えてしまっている自分に
時計をみると休憩時間も半分以上過ぎていた おっとヤベェ 彼女の休憩時間が あと少しじゃないか…
無意識に彼女にメールをした
送信ボタンを押した後になって またしてもハッとする
いかんいかん つい癖になっていて無意識にメールを送ってしまったじゃないか…
恐るべき柚月ちゃん…魔性すぎる…
自分から送った癖に責任転化するように心の中で彼女を責める
そんな心の内を知らぬ天真爛漫なレスがきて思わず微笑んでしまう
「安ちゃ~ん 誰とLINEしよんなぁ」フイを突いて田辺さんが後ろから自分を羽交い締めする
『うおっ なんっスかぁ ビビるし…誰って…嫁っスよ 嫁…』慌ててスマホをしまい込み引きつる笑顔で答えると田辺さんはニヤニヤした顔から「あり得ん…マジ萎えるで お前」と 顔を歪める
この人の奥さんは社内でも有名な嫁だ
部長の奥さんの親戚筋らしいが 入社前に社内の女性の最若年齢を聞いたり 女性の居ない部署じゃないとダメだと言ったとかで相当なヤキモチ妬きらしい
なんでも前の会社で東京に居た頃 事務のお姉ちゃんと良い仲になったが嫁が怒鳴りこんで来たらしく クビにはならなかったらしいが居た堪れなくなり辞めたらしい
それからは嫁の実家近くのマンションに越して 確か近所のハズ
そんなに嫌なら別れりゃ良いものを…そうもいかないのか 常に悪口は言うが今や言いなりらしい
最初のコメントを投稿しよう!