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散りゆく染井吉野は儚く夜風に乗り花吹雪となり水面(みなも)に落ちゆく
泡沫(うたかた)に写る月明かりの悲しき夢幻(むげん)の後は現世(うつつよ)の雨に変わり
今は帰らぬ想ひ人の声は下弦の如く美しき音色を奏でる
古(いにしえ)に結ばれし縁(えにし)の繋がる場所は遠き日の交わした未来への契り(ちぎり)は愛しき君を離さぬという
移ろう雲居に抱かれ虚空に浮かぶは中秋の名月
古都を照らす光と祇園の宵闇は憂いの狐火
忘れられなき秋の日に赤に染まる風に揺られる紅葉の葉を愛で銀杏の葉は宇治川の流れになり川を下る
語らい続けた懐かしき日は何処へと行くのかと追いかけることすら出来ぬ儚き夢の痕は切ない詩に
闇に飲まれ追憶になる我が恋は雪景色の向こうへと
紡がれる言の葉は霧と消えゆく
別れの言葉すら言えぬままで
黄泉へと旅立った君と遺された私がいた
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