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あんなに幼かったジョシュア様も、今ではもう二十歳になっていた。長かった髪もバッサリと切り、髪をすく面積が狭くなったのが、少し寂しい。
それから、ジョシュア様がいい加減若様呼びをやめろと仰ったので、こうしてジョシュア様と呼ぶようになった。ジョシュア様はなにやら不満そうだったが、それが何故なのかは解らない。
現在ジョシュア様は、『魔族狩り協会』を立ち上げる為の手続きに追われ、明日にはやっと立ち上げられるといったところだ。意外にもとんとん拍子で話が進んでいき、手続きが大幅に削減されたこともあってか、案外スムーズに立ち上げることが出来そうだ。
ジョシュア様は、魔族も、魔族狩りも、どちらも好きではないのだと仰っていた。だからどちらでもないただの人間のお前が一番信用出来るのだと。
実のところ、ジョシュア様はこんな協会立ち上げたくはないのだと仰っていた。妹であるチェルシー様を殺した魔族狩りを守る様なものなど、ジョシュア様に立ち上げさせることなど、酷だ。誰が最愛の妹を殺したそれを守ろうとする人間がいるものか。
けれどそれは命令だった。ジョシュア様の、父上からの命令だ。
旦那様は、権力者である。逆らうことは許されない。ジョシュア様は聡明なお方だ。故に自ら死に行くようなことはしない。
私も密かに反対している。この協会のことも、旦那様の対応も。妹を殺したそれを守るものなど、ジョシュア様には必要ない。ましてやジョシュア様ご自身がその魔族狩りなのだ。ジョシュア様は自らの特性を反吐が出るほど嫌っておられる。
ああ、可哀想なジョシュア様。そんなものを設立する為に書類を書くなんて。それをする背中のどれだけ小さなことか、ああ。
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