出会い

2/5
前へ
/16ページ
次へ
「あれ?…地図ではこっちなのに…」 ローゼンクランツ家に新しく派遣されることとなった私は、見ての通りローゼンクランツ家に向かう途中だ。 ローゼンクランツ家は、クロティア王城街にある。結構な大きさで、すぐに見付かると思っていたのに。 迷わないよう、地図と羅針盤をよく見て慎重に進んでいた筈だった。 それが今はどうだ、地図と羅針盤を片手に、シエラの森をうろついている。 そう、私は方向音痴なのだ。この特性のせいで、私は嫌と言うほど苦労してきた。大事な依頼の時に一人道を間違えたり、迷子を探していたら自分が迷子になっていたり、数えればきりがない。今だって約束の時間を大幅に過ぎているのだ。早く行かなければ、この間の様に契約が破棄されることになりかねないというのに。 ここ、シエラの森は、ローゼンクランツ家の北西方面に位置する森だ。迷いやすいと有名で、方向音痴である私が迷わなかったのが逆に不思議なくらいである。 道には、先程から迷って野垂れ死んだのであろう骨がちらほらと。間違ってもこうなりたくはないため、そして、早く着くためにも、もうどうにでもなれ、と歩き出す。 ちなみに、先程から同じ景色ばかり見ている気がするが、あながち間違いでもなさそうなのが何とも言えない。この特性、どうしたものか。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加