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「あれ?…地図ではこっちなのに…」
ローゼンクランツ家に新しく派遣されることとなった私は、見ての通りローゼンクランツ家に向かう途中だ。
ローゼンクランツ家は、クロティア王城街にある。結構な大きさで、すぐに見付かると思っていたのに。
迷わないよう、地図と羅針盤をよく見て慎重に進んでいた筈だった。
それが今はどうだ、地図と羅針盤を片手に、シエラの森をうろついている。
そう、私は方向音痴なのだ。この特性のせいで、私は嫌と言うほど苦労してきた。大事な依頼の時に一人道を間違えたり、迷子を探していたら自分が迷子になっていたり、数えればきりがない。今だって約束の時間を大幅に過ぎているのだ。早く行かなければ、この間の様に契約が破棄されることになりかねないというのに。
ここ、シエラの森は、ローゼンクランツ家の北西方面に位置する森だ。迷いやすいと有名で、方向音痴である私が迷わなかったのが逆に不思議なくらいである。
道には、先程から迷って野垂れ死んだのであろう骨がちらほらと。間違ってもこうなりたくはないため、そして、早く着くためにも、もうどうにでもなれ、と歩き出す。
ちなみに、先程から同じ景色ばかり見ている気がするが、あながち間違いでもなさそうなのが何とも言えない。この特性、どうしたものか。
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