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「…で、まだなのか?」
葡萄を食べて少し落ち着いたのか、半分諦めたような声色で太り気味の男に問いかける。
「も、もう少しでございます!」
男が焦った様子で言えば、ジョシュアは諦めきったのか、疲れた様にもういい、とだけ言って席を立った。
部屋へ戻ろうとするジョシュアを、戻ってきた家臣達が引き留める。
「し、新人を、連れて参りました!」
ゼェゼェと息を切らしながら、後ろで棒立ちしている空色の髪の美しい青年をぐっと前に押し出す。
青年は、はっとして自己紹介を始めた。
「初めまして、私は」
「遅い!遅すぎる!何をしていたのだ!このボクを二時間も待たせるとは何事だ!ふざけるな!」
青年の挨拶を遮り、ジョシュアが大声で捲し立てた。
突然の怒号に青年は驚きで固まったが、直ぐに覚醒し、申し訳ありませんと謝る。
「…お前は、今まで何をしていたのだ」
やっと落ち着きを取り戻したジョシュアが、呆れた様に青年に問いかけた。
「…迷っていました」
青年は、少しだけはにかんで答えた。
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