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「お客様、宜しければお話をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「もちろんです!私はそのために来たのですから!」
雅樹が客の前に移動し、優しく声をかけると客は今までとはうって変わり、ハッキリとした口調で答えた。
「えっと、何から話せばいいか・・・」
「ではまずお客様のお名前などから」
「あ、はいっ!」
客は丸まった背中を伸ばし、椅子に座りなおすと大きく深呼吸をした。
「私の名前は小林 太一と言います。仕事はこの近くの大学病院で警備員をしています」
「この近くと言えば、清洲大学総合病院ですか?」
「ええ、そうです」
「うわ~、あんな大きな病院でお仕事されてるなんてすごいですね!」
穂奈美は胸の前で手を合わせながら少し大げさとも見える口調で言った。
「いや~、まぁ、確かに大きいですが、私はただの警備員ですからね」
小林はそう言いながらもまんざらでもない様子で、少し照れながら頭を掻いた。
小林の体は普段から鍛えているのか、痩せ型だが筋肉質。
よく見れば髪もスタイリッシュでイケメンの部類に入るかもしれない。
そんな小林の照れ笑い顏に穂奈美の母性本能が少しキュンとした。
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