第一話 時給900円!割りに合わないアルバイト

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バンッ! 勢い良く開かれた勝手口の扉が、心無しかギーギーと音を立て悲しげに見える。 「間に合った!」 穂奈美は壁掛け時計を指差し嬉しげに胸をはった。 時刻は17時。 ここから23時までの6時間、週5日を穂奈美はここ喫茶フォレストでアルバイトをしている。 「穂奈美さん、間に合うとは時間ちょうどに来ることじゃありませんよ」 そう優しい口調でたしなめるのは、このお店のオーナー。 長身で黒髪、メガネが似合う29歳。 「あ、雅樹さん。お疲れ様です」 「ははは、僕はまだ疲れていませんよ。疲れているのは寧ろ穂奈美さんの方なんじゃない?」 「そんな、滅相もございません!これからバリバリ働かせていただきます!!」 穂奈美はそう言うと、右手で思い切りガッツポーズをした。 「頼もしいなー。じゃあ口元を綺麗にして準備ができたら宜しくね」 「くちもと?」 雅樹がにこりと笑ってホールへと向かう。 穂奈美は小首を傾げながら荷物を置き、鏡を見た。 「いやぁぁー!!」 更衣室に響く穂奈美の断末魔。 「みみみ、見られた!雅樹さんにヨダレ姿見られたー!」
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