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「賢吾のいびきも聞こえないし」
時々、アルコールを多めに摂取した夜に賢吾はいびきをかくことがあった。
「よく言うよ。自分のこと棚に上げて」
そう言いながらも賢吾は笑っている。
たぶん俺も同じなんだろう。
「冗談だ。・・・・寝ているあいだはともかく、目が覚めて隣にお前がいないのは、変な感じだった。・・・・あるべきものがない感じ」
賢吾の手のひらが俺の右頬を包む。
促されるままに賢吾の方へ向くと、微笑いながら額を合わせてくる。
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