Side : Toru 1

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「賢吾のいびきも聞こえないし」 時々、アルコールを多めに摂取した夜に賢吾はいびきをかくことがあった。 「よく言うよ。自分のこと棚に上げて」 そう言いながらも賢吾は笑っている。 たぶん俺も同じなんだろう。 「冗談だ。・・・・寝ているあいだはともかく、目が覚めて隣にお前がいないのは、変な感じだった。・・・・あるべきものがない感じ」 賢吾の手のひらが俺の右頬を包む。 促されるままに賢吾の方へ向くと、微笑いながら額を合わせてくる。
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