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兄貴が住んでいるはずのアパートの青いドアの前で、おれは呆然と立ち尽くした。
『北川なんて知らない。あんた部屋間違えてんじゃない?』
現在の住人にインターフォンですげなくされてはじめて、ここに兄貴が住んでいないことを知った。
頭の中がクエスチョンマークだらけのまま、とりあえず建物の玄関前まで戻る。
時刻は夜9時半。
外は真っ暗で、たいして明るくもない街灯がポツポツと立っているだけだ。
札幌は真夏でも夜になれば少しは涼しくなるのに、ここでは生あたたかい風が吹く。
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