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私は、手早く着替え、帽子を被ると、くしを持って、祖母の家に向かった。
帽子を取り、祖母に、その惨状を訴えた。
「ごめんね。あれは、私の友人のくしだったの」
祖母はくしを手に取ると、優しく撫でた。
「きっと、私が手放したから、怒ったのね」
穏やかに笑う祖母は、私の髪のことなど、どこ吹く風のようだった。
「それより、この髪!」
私は、長く伸びた髪を一房掴んで、見せる。
「もう大丈夫よ。このくしは、私が死ぬまで、持っているから」
祖母の言葉を聞き、すぐに、はさみで、髪を切った。
もう、髪が伸びることはなかった。
「友人は、自慢にしていたくらい長い髪だったんだけど、その髪で、首を絞めて、亡くなってしまったの」
祖母は、言わなくてもいいことまで、口にした。
「もちろん、事故だったんだけど」
そうは言ったが、聞きたい話ではなかった。
美容院に寄ってから、家に帰った。
その途中、もしかして、あのまま、放っておけば、自分の髪で首を絞められたかもしれないと思うとぞっとした。
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