ある日私は、眼を拾った。

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 ……………………。  再び私は、闇の中に突き落とされた。  漆黒。暗黒。暗闇。無…………。  もう、何も見えない。私の顔も、妻の顔も、何もかも…………。  ……いや、歎いていてもしょうがない。ただ、元の私に戻っただけ。ひと時の夢を見ていたと思うしかない。  しかし、私の悪夢はここから始まった。  ふと、闇の中でうごめく何かを認識した。  それは、あの醜い人形だった。  徐々に、徐々に迫って来る異形の人形。振り払う事も、逃げる事もできない。  寝ても覚めても、闇をバックに人形はずっと恨めしげに私を見つめ続けている。  見るな……。  これ以上私を、見ないでくれえええぇぇ----  糸冬
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