ある日私は、眼を拾った。

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 やはり見えるのと見えないのとではだいぶ違う。いつもより半分の時間で懐かしの我が家に帰って来れた。  毎日帰っているハズなのに、なんだか長い間留守にしていた気分だ。 「おおい! 帰ったぞ! 帰って来たぞ!」  扉を開け、弾む声で呼び掛けると、奥から懐かしい顔が現れた。 「はいはい、どうしたの? そんな大声出して--」  お前はちっとも、変わらないな……。 「逢いたかったぞ……」  感動の対面を果たそうとした、その時、 「な、なんですかアナタそれ!?」  妻は怯えた表情で私を、いや、人形を指差した。 「ああ、この人形か。聞いてくれ。この子が私に光を--」  ふと、妻の隣にある鏡に目がいく。そこには当然、私と、私が抱える人形が映し出されていた。  それを見た私は、全身に鳥肌が立った。  人形だと思っていた物は、血走った目を剥き出しにしており、口は大きく裂け、鼻は無くただ二つの穴が空いているのみ。  皮膚はボロボロで赤黒く変色しており、まさにその姿は“異形”と呼ぶに相応しかった。
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