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予想通り妻に箱の事を聞かれ、『骨董品屋で買ってきた』と適当に誤魔化し、そそくさと自室に行く。
机の上に箱を置くと、はやる気持ちを抑えつつ、十字に結んでいた紐を解き、上の箱をゆっくりと持ち上げた。
「これは……」
全体的に青が占める球体。
所々に白が掛かり、緑が様々な地形を象っている。
それはどこからどう見ても、“地球儀”だった。
一番初めに思った事はもちろん『何でまた地球儀?』 だ。
まあ地球儀と言っても年代物のアンティーク品だってあるし、これも相当値の張る物に違いない。
しかし、妙にリアルな作りだ。よく見ると白い雲の部分は動いているし、オマケに上半分は明るくて下半分は暗い。明るいところは朝で暗いところが夜って事か。懲り過ぎだろう。
しかも……僅かに宙に浮いている。もしやホログラム映像なのか?
そう思い、試しに適当なところに指を伸ばして触れてみる。
……触れる。質感もリアルだ。
どうなっているんだ? こんな地球儀、現代の科学技術で作れるとは到底思えない。
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