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笹原くんは、それからしばらくずっと、行きも帰りも送ってくれた。
と言って、それが何だか素敵な人みたいに聞こえてしまったんなら、それは訂正しなくてはならない。
「笹原くん、もういいよ。今日は一人で帰るから」
私は、もう何度目かの台詞を今日も口にした。
「なんで? チカンされたくなった? それなら俺がして……」
「一生ならない。笹原くん、反対方向じゃん。わざわざこっちまで来てくれて、帰りも付き合ってくれて、全然星も見てないでしょ? 昼寝もしてないし」
そうなのだ。笹原くんは、路線は一緒だったけれど、自宅は私の家と反対方向だったのだ。それを、今日知った。
だから、今日は地学室に来ても教科書も広げず、ただただずっと、笹原くんが来るのを待っていたのだ。
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