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「奈留ちゃーん。機嫌直して?」
「……」
笹原くんも立ち上がる。
ブンブン振り回す腕を逆手に取って、一緒にブラブラ腕を揺する。
もう。幼稚園児の遊戯じゃないんだからっ!
「あ、放置プレイ? その分後で可愛がってくれるならいいなー。奈留って実はSっ気」
「ないっ!!」
「あ、こっち向いた」
「む」
ニコッと笑った彼は、器用にもチュッと唇を合わせる。
ドタドタドタッと椅子を3つ4つ薙ぎ倒して倒れかかった私を引っ張り起こすと、あれほど離してくれなかった手をあっさり解放して、倒れた椅子を直してくれた。
「奈留。奈留。奈留ちゃーん」
「……」
私は半ば呆然としたまま、黙って制服の埃を払う。
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