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私はスマホを取り出す。狙いのブツが出品されていないかと、ここのところは毎日チェックをしている。アラートで知らせるように設定してあるが検索をかけてしまう。私の少ない貯金でも買える値段で出品されるのを、ただ、待ちわびながら。
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私は絶望を吸気し、希望を排気して生きていた。いつしか吐く希望が底を突き、絶望を際限なく溜め込んだこの肉体に嫌気がさして、ついに三か月前に自殺を思い立ったのだ。
――――生まれてきたことに意味はないし、生きつづける理由もなかった。それでも惰性で送った人生の中で、見たいものや知りたいことよりも、見たくないものや知りたくないことの数のほうが多くなった。そのくせ、現実は見たくないものばかりを私に見せつける性悪である。
そのときの私には環境を変えて心機一転して頑張るような気概はなく、どうあがいたって世界が変わらないことを悟っていた。見たくないものは跳梁跋扈しているし、聞くのを厭う現実が繰り広げられていることを知っていた。裏切りはなくならないのだ。
私はそれらから永久に目を逸らそうとしたに過ぎない。
開き直る度胸もなく、恥じるばかりで身動きが取れない。現状の不具合は生まれ育ってきた環境のせいにして自己を正当化し、変化は望まない。受動的で与えられるのを待つしかできない愚図だった。
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