2人が本棚に入れています
本棚に追加
*始まりの入学式*
美麗side
「だーから!あれだよ、うちらと同級生のイケメン!」
朝から七海の甲高い声が、耳に鳴り響く
あんたの声はサイレンか、七海
「別に興味ないってば、関係ないし」
相も変わらず、無表情で薄い反応をする
そう、関係なかった
この時までは――…
――――
長い校長の挨拶
眠い、ただそれだけ
「あのっ!」
ふと、後ろから声がした
私だと少し悪いので、後ろを振り向いてみる
「あっ!すみません、俺のヘアピン落ちてませんでしたか?」
色素が薄く、髪がはねた男子だ
案の定、私の方を見ているから、私に言っているようだ
「知らないし、見てない」
シンプルな答えを返して、元の体勢へ戻る
だけど後ろから、「えー…どこだろう?」だの「俺のー!出てこいーっ」と聴こえてくる
煩い奴だなぁ…
耳障りだし
「…ねぇ」
このままだと、眠ることも出来ない
多少抵抗があったが、煩いよりはマシだ
そう思い、持参のピンを二本渡した
嬉しそうに「ありがとう!」と言ってきた
「別に」なんてそっけなく返したが、どうやら、これが悪かったようだ…
まさか、あんなことになるなんて…
最初のコメントを投稿しよう!