空の下――序章

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空の下――序章

 夜野 景(やの けい)は普段 図書室には行かない。  友達がサッカー部や バスケ部だったりと運動部のためか、 昼休みは決まって外へ出て遊ぶ。  放課後は、 帰宅部なので友達と喋って教室に残っているか、 あとはバイトだ。  陽射しもすっかり弱まり、  長袖の制服にも慣れた頃、  景は珍しく図書室に入った。  手前に長机と椅子、壁には本棚が並んでいる。  奥の方へ進むと書架だけがあって、 出入り口からは一番奥が見えない。  しかし一見して、普段からこうなのだろうか、 図書室には生徒が一人もいなかった。  景は廊下側を歩いて、 書架に近い席にかばんを置いた。  あまり読書をしない彼は、 その席に近い書架で適当に本を選び、 期待も集中もせずに読み始めた。
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