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図書室は静かで、時計の音さえよく響いた。
時計は16時半を指しているが、窓の外はもう薄暗い。
今日は元々 曇っていたから暮れるのが早かった。
なんとなく始めた読書に夢中になっている景は、
外の暗さにも気付いていない。
本の中の現実に引き込まれて、目を離せずにいた。
しかし不意に、景は顔を上げた。
図書室にいるのは自分と司書のおばさんだけ。
景はそう思っていたのだが、
いつの間にか人の気配が増えていた。
物音というより息遣い、気配を書架の方から感じた。
そちらを見やって、景はびくっと動きを止めた。
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