その3

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 夕刻ノ魔が王魔に入るかどうか。それは、この際、些細な問題だ。分かっている事実だけに集中すれば、夕刻ノ魔は強すぎて危険すぎる故に、封印するという手段しかない。中心街から人を退避させてでも封印をしなければならないのだから。 「どうにかして、応援を呼んでもらえませんか?」  政府直属の対魔部隊を率いている輝葉ならば、少しでも応援を呼んでもらえるかもしれない。夕刻ノ魔を相手にするのだ。少しでも応援が多いことに越したことはない。  しかし、輝葉はあまり芳しくない顔をしている。 「呼びたいのは山々なのだが・・・」 「何か問題でも?」 「私は静子を匿っていただろう」 「あ・・・」  表沙汰になることはなかったが、輝葉は魔化した静子を匿うという規律違反をしていた。ましてや、対魔部隊を率いる者だというのに。疑念を持っていた政府関係者が密かに、海外から元エクソシストを暗殺要員として呼び寄せたが、そいつ自身が魔化してしまっていたという問題があった。そのエクソシストのせいで、夕海町の朝日トンネル近辺で大事故が発生してしまった。  この一件もあって、輝葉が静子を匿っていたということは魔化が解かれたのもあって、お互いに目を瞑るということで決着した。しかし、大本のキッカケを考えれば輝葉に非があったことは否めない。  その一件から日も浅く、まだ互いの蟠りが解消し切れていない。この状況で、対魔部隊の出動要請を出したところで、隊長命令とはいえ果たして隊員が出てくるかどうか不安が残る。  ましてや、夕刻ノ魔を再封印するのは明日になる。明日までに体制を整えきるのはかなり、厳しいと予想された。  どちらにしろ、対魔部隊は今回、出番がないと思った方がいいかもしれない。 「自分達で対処するしかないということですか」 「そうするしかないな」  目的はあくまで、夕刻ノ魔の再封印であるいが果たして無事に済むか、どうか努は今から不安を募らせていた。
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