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玄関脇のロビーで毛布に包まり、夜通し外の気配に神経を尖らせていた空木智治は、明け方近くになって安堵したのか、うつらうつらと重いまぶたを閉じた。
ピョピョン♪
ようやく深い眠りにつけると思った矢先に、脇に置いたスマホが突然に鳴り響き、空木はビクリと身体を反応させ、飛び起きた。
「……!?」
かたわらに置いておいた鉄パイプを手に、周囲へと視線を走らせた。
毛布に包まった飯豊純平が横になってソファーでいびきを立ていた。
「……」
空木は〝頼りになる〟相棒の寝顔に眉根をよせた。
どうやら、BSによる奇襲はなかったようだ。
昨日、白根麻衣が惨殺されたことが夢に思えてしかたなかった。空木は大きく息を吐き出しスマホに手を伸ばした。
時刻は朝6時半。新着のWiFiメッセージの吹き出しが、画面上にいくつか連なっていた。
送り主は全て、ウチダだ。
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