28人が本棚に入れています
本棚に追加
眠れない夜を過ごしたメンバーたちがロビーに集結した。まだジャージを着用している者もいたが、女子のほとんどは制服に着替えていた。金沢先生、草津京平、白根麻衣の死に直面して、夜通し泣きはらしたであろう彼らの前に、空木は立った。
「すでにみんなもメッセージの中身を見たと思うが、情報がまだ不足している。例え出遅れたとしても、ここはしっかりと計画を練ってから挑んだほうが良い。まずは皆の意見を聞かせてくれ」
一同の顔が、空木へと集まった。
「報酬の中身だが、武器、食料、ポイントの3つに分かれている。この3つの中でどれを優先順位にすべきか?」
「私、食糧が良い。お腹へって、もう動きたくない」
「俺もだ! 腹が減っては戦はできぬというだろ?」
「ポイントの方が良いって! 私たち、BSに1ポイント差で負けてるんだよ? このままだと、私たちの誰かがまた殺されることになる! 20ポイントもあれば、怯えなくて済むんだよ!」
「3人目の死者が俺たちの中から出れば、12名。対してBSはまだ誰も死んでないから15名のままだ。人数が減れば、ますます俺たちが不利になっていく」
「いや、武器だ」
「食糧で白根麻衣の仇が取れるか? ポイントで腹が満たされるか? でも武器があれば、食料もポイントも奴らから奪い取ることができる!」
「武器を取って、BSを殺せってこと? そんなこと出来ない! やりたくない!」
このままでは議論が長引くだけで結論が出ない。答えが出ぬまま、空木は多数決を取ろうとした。独裁体制をとるBSと違って、民主的な採択を選んだRAは何かと時間がかかった。
ここで、自称名探偵コナン少年こと皇海幸生が、ある事に気づいて、銀縁眼鏡を光らせた。
「空木くん。ここでその議論をするのは無駄だよ」
「ん?」
小太りの腹を反らして、皇海幸生は言った。
「メッセージには、どの報酬がどのポイントにあるかは言及してない」
「……!?」
みなはすかさず、手元のスマホの画面に注視した。
最初のコメントを投稿しよう!