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「確かに、名探偵くんの言う通りだ」
「食糧・武器・ポイントとの順で記されてあるだけで、それがA、B、C地点にあるとは限らない」
「そうかもしれないってだけで、断定するのはいけないよ」
「そうだね。だからこれ以上、議論はしない方が良い。それよりも、いくつの報酬をGETするかの目標を立てた方が良いね」
相変わらず鼻に着く物言いだが、皇海幸生の言うことは理路整然としている。
「つまり、3つ全てを獲得するのか、どれか1つに絞るかだね」
「そりゃ、多ければ多いほどいいじゃん?」
「そうだね。君がそう考えたということは、BS側も同じことを考えるだろうね。その結果、3つ全てを相手に奪われる可能性だってある」
「そうね。ただでさえ、わたしたちのチームは2人も少ない。3つに分けるより、ひと塊になって確実に報酬を獲得したほうが良いよね!?」
「しかし、そううまくいくかな?」
巡り巡って、ふたたび空木が発言権を得た。
「仮にA地点に狙いを定めて、全員で行くとしよう。そして無事に辿りついた。そしていざ、報酬を手に入れようとした時、すでにBSに持ちされて後だったら、どうする?」
一同の顔つきが神妙に変わった。
「集団で動けば自然と、足は遅くなる。小人数で組織したBSのグループより先に目的地に辿りつける可能性は極めて低いんじゃないか?」
二日目のハイキングを通して、足の速い者、遅い者との距離が離れていくのは体験済みだ。できるだけ集団で行動したがる女子たちは、しぶしぶとうなずかざるを得なかった。
「もう時間。はよ決断せんと、すでにBSは動きだしてるかもしれへん」
「そう? そうだな!」
結局、名案のないままに、1班から3班の3つの班に分かれて、それぞれアタックするという案でまとめるしかなかった。
生きていれば、チームの中核にもなる存在だった草津京平と白根麻衣が死んでしまったことで、男女構成のチームバランスを考え直す必要があった。男子は6人と、BSの8人に比べて2人少ない。その上、オカマちゃん疑惑のある妙高一文を女性と区分にした場合、たったの5人である。クラス一の巨体、柔道家の飯豊純平が3人力以上の働きを要求された。
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