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キャンプ場までの道のり、各班長である空木智治、飯豊純平、奥白琴次郎は歩きながら、相談した。
「数字がkm単位だとして、それぞれA地点が約15km。B地点が10km。C地点が11kmの距離になる」
「一番遠いのがA地点か」
奥白が言った。
「うちの班には、早池せいらがいる。彼女に長距離を歩かせるのはきつい」
早池せいらは病弱で、2日目のハイキングの帰りでも、倒れそうになったほどだ。
「分かった。奥白の3班は、一番距離の短いB地点へ向かってくれ」
「すまないな」
「俺の班とトモヤンの班、どっちがA地点へ向かうんだ?」
「俺の班で後れをとりそうなヤツといえば……」
空木は振り返り、雨飾里奈を見やった。
― あの子はどう見ても、というか絶対、運動音痴の部類だ。途中でへたばって彼女をお荷物にはしたくない。ジュンペイには悪いが、ここは……。
「俺たちが行くぜ」
空木の考えを見越したように、飯豊が言った。
「な~に、心配するな! 男は俺ひとりみたいなもんだけどよ、いざとなりゃ、この体で何とかしてみせるぜ!」
飯豊は、分厚い胸板をドンと自分で叩いてみせた。
「ジュンペイ、おまえと同じチームで良かったよ」
「まったくだ」
空木の意見に、奥白が小首を振って同意した。
「トモヤン、奥白。弱気でどうする? 俺たちがしかっりしなきゃ、他の連中が命を落とすかもしれんぞ」
「ああ。そうだったな」
キャンプ場に近づいたところで、雨飾里奈がシー……、と唇にひとさし指を当てた。
「空木、もうすぐキャンプ場」
一行は林道を抜け、キャンプ場へと入った。
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