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BSの連中は!?
一同は緊張した面持ちで周囲を見渡した。
広場に人影はなく、巨大な人型の木組みが中央に鎮座していた。
広場中央まで進み出た一行は、先日の宴の痕跡へと視線をとした。
豚を丸焼きにした炭がまだ、掃除されずにそこに残っていた。思えばあの晩を境に、全てが豹変してしまった。
「ちょっと、これを見て」
空木は声がしたほうへと振り返った。
しゃがみこんだ早池せいらが、地面についた無数の足跡を見つけた。
「複数人の足跡が、ホラ、森の方へと向かっている」
早池は、広場奥の森へと指をさした。
「くそっ! BSのやつらに先手を取られたか!」
飯豊がくやしがり、拳で手のひらを打ち叩いた。
「大きい足跡の上に小さい足跡が重なってる。男子のあとに女子が続いて歩いた……」
立ち上がった早池せいらは、足跡を追って歩きだし、ふたたび立ち止まった。
「ここで、二手に分かれている」
早池の指摘通り、複数人の足跡が、正面と左手とに分かれて森の方へと続いていた。
「正面へ進む足跡の方が、左手へ向かう足跡よりも数が多い。男女構成もバラバラみたい」
「ちょっと待って、今確認するから」
機転の利く八幡小百合がすかさず、座標のメモを取りだし、スマホアプリのコンパスを起動させた。
「正面はちょうど北の方角、あっちは西」
座標に記された矢印とコンパスを照らし合わし、彼女は言った。
「座標によれば、A地点最初のチャックポイントは北へ5・7km。B地点、C地点がともに西へ1kmよ。途中まで同じコースみたい」
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