第1章

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こんなアバズレには子がいて、私にはいない。 こんなアバズレには愛してくれるご主人がいるのに、私は…私は…。 「アバズレアバズレうっせーよ。」 ! やっば…声に出てた? 「声に出てた?出てないよ。」 「……。」 「顔に出てんだよアホ。」 アホは余計。 「マオはご主人に愛されてるよ。私が旦那に愛されているように。」 同じ様に?何言ってるの? 「いいよ。気を遣ってくれなくて。私はアイルとは違う。アイルは確かに愛されてる。でも私は…」 アイルが表情の読み取れない顔で私を見つめている。 「私だって、マオが想像しているような愛の生活は…してないよ?」 それはアイルが浮気者だからだろう。 私は一途なのに…私はこんなに男を想っているのに… アイルは一途ではないのに…他の男の子を孕んでもご主人に愛されている。 何で?何でよ! 「マオさぁ、ただのマンネリってだけじゃないんじゃない?他に何かあった?」 だからこいつは何でこんなに鋭いんだ? 「……。」 「全部吐いちゃいなよ。」 「…別れを」 「告げられた?」 「ニオワセテキタ」 「どんなふうに?」 先日、私が寝ている…正確には目を閉じて寝ようとしている時に男が誰かと電話をしている声が聞こえた。 いや、どっちが大事なの?って…そりゃ…君だけど…。でも、ちょっと待ってよ。追い出せ?そんな…無理だよずっと一緒に暮らしてきたし…あいつは俺がいなければどうなるか…。 聞きたくなかった。 いつからだろう。 裏切られていたのは。 でも私は動じない。 私達には歴史がある。 私達は離れる事はない。 そう思っていたのに 翌日 「マオ、俺んち狭くない?俺仕事仕事でお前と一緒にいる時間もないし、マオさえ良ければ他…」 うわー! 皆まで言わせるか! 私は暫く悲鳴をあげて気が付いたら男に抱きすくめられていた。 「ごめん、何でもないよ。ごめんな。」 苦しい 強く抱き締められ過ぎて苦しいし ハートも苦しい 苦しい苦しい苦しい そして 惨め
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